交通事故 どこからどこまでが重過失?

 重過失は、違法となることを知っていながら違法行為に及んだのと限りなく等しいと判断された場合に認定されます。交通事故の損害賠償に関する話し合いの中では、過失をどの程度まで認定するかは請求額を決めるための非常に重要なプロセスとなっていますが、いったいどのような行為が重過失と認められ得るのでしょうか。
自動車かバイクが絡む交通事故で車両側に重過失があると認められる可能性があるケースとしては、免許が無いのに車両を運転した場合や、居眠り運転をした場合、アルコールや過労、病気、薬物などの影響で正常な運転が困難になるおそれがあるのにも関わらず運転をして事故を起こした場合、一般道で制限速度を30キロメートル以上オーバーした状態で運転していた場合などがあります。

 これらはどれも道路交通法で重大な違反行為と位置づけられているもので、行為が認められた時点で行政処分は免れません。これに対して、脇見運転や酒気帯び運転、不適切な操作をしたことが原因で事故を起こした場合、携帯電話やスマートフォンなどで通話をしたり、画像を注視したりしながら運転していた場合、ヘルメットの着用義務を怠ったまま運転して事故に遭遇した場合などは、著しい過失と認定されます。
一方、自転車が絡む交通事故では、ブレーキに故障や不良があった場合と、減速せずに坂道に入ったあとスピードをつけたまま事故現場に進入した場合が、自転車側に重過失があると判断され得る行為となっています。

 なお、違反行為が著しい過失にも重過失にも分類されうる場合は、より重い後者が適用されます。交通事故に遭遇したときに、上記の行為が認められてしまうと、請求できる損害賠償の額が減ってしまうので、無茶な運転は絶対しないようにしましょう。